『A.I.C.O. Incarnation』オリジナルサウンドトラック

『A.I.C.O. Incarnation』オリジナルサウンドトラック

オススメ度 ★★★★☆

発売:2018年3月28日 収録時間:93分 定価:3564円 レーベル:ランティス



BONES×Netflixで送り出されたハードSFアニメ「A.I.C.O. Incarnation」。
BONESが定期的に打ち出す媚び気のない重苦しい作品である。
村田和也監督のもと、音楽は「ガルガン」「カド」に引き続き岩代太郎氏。
ストリングスによる緊張の維持と、MIDIでのリズム混ざりが印象的。


No.Disc1 曲名時間作・編曲作詞
1Never Say Goodbye to Her2:04岩代太郎
2A.I.C.O.4:40唐沢美帆TRUE
3Falling Down to the Future2:12
4Artificial Heart Beats2:24
5Where a Family Live Still2:58
6Going to the Bloody Fields2:36
7Dedicated to Unforgettable Days2:51
8Just One Tragedy2:13
9Non-Stop Madness2:10
10Pure & Cure2:27
11MATA’s Lamentation2:13
12Future of Secret Operation2:14
13Demon’s Steps2:29
14Why was it that she was born?2:19
15For Kill or Be Killed2:12
16Moaning in the Darkness2:35
17My Dear A.I.C.O.3:29
18Never Say Goodbye to Memories2:54
No.曲名時間作・編曲作詞
1未知の彼方4:01岩代太郎
2Always be with Beautiful Mind2:21森由里子白石晴香
3Doubt against Our Future2:33
4Together Another One2:26
5Into the Blind Vision2:20
6Realm of the Subconscious2:47
7Wild Pressure2:15
8Motif on Day-Dream3:26
9On the Strange Phase3:00
10Report about Unanswered Investigation2:02
11Bloody Festa2:20
12Under the Flag of Special Forces2:16
13Defense Battle Formation Z2:10
14Variant People2:16
15The Last Stand2:16
16Blackness of the Hell2:08
17Blank of Last Monologue3:19
18Beyond the Future2:21
 定期的に「これでどうやって商売するの?!」という趣のSFアニメを繰り出すアニメ会社BONES。
 本作「A.I.C.O. Incarnation」もNetflixオリジナルアニメらしさも兼ね備えた、非常に重苦しいSFアニメとなった。
 スタッフは村田和也監督、鳴子ハナハルキャラ原案、岩代太郎音楽と、「翠星のガルガンティア」「正解するカド」の座組。

 前述のとおり岩代太郎氏による劇判だが、良い意味でも悪い意味でもひたすらに緊張感のあるストリングスが続く。   
 監督との付き合いも3作目となり、「ガルガンティア」「カド」と比較しても、より劇中の雰囲気やシチュエーションに合わせられているため、とにかくテンションの幅が狭い。
 ちなみに当然のことながらストリングスや打ち込みのクオリティは大ベテランの仕事なのでハイクオリティである。
 そしてテンションの幅が狭いと言ったが、「重い雰囲気」の中での多彩さは目を見張るものがあり、転調は控えめ、爽快さも控えめ、ストリングスと打ち込みをメインに、という括りの中で、よくも30曲を超える数をこの品質で保てるものだと感心する仕上がりになっている。
 「重苦しく、不安」「重苦しく、エモーショナル」「重苦しく、疾走感」というような、他では聞けそうで聞けないバリエーションの広がりがあるのがかなり特徴的である。

 フル収録されているOP、EDともに岩代氏作曲で空気感を統一させているところも非常に好印象である。
 メロディとして派手ではないものの散りばめられたメインテーマメロディを使用したTRUE歌唱の主題歌「A.I.C.O.」のSF大河感はタイアップでは聞けない飾り気のない、それでいて力強い男前な一曲であり、本作の為だけに作られた素晴らしい一曲。
 ED「未知の彼方」も、本作のラストには救済が待っているのだと予感させる、劇中の重さのバランスを取るような優しいメロディと歌唱の一曲なので、OPと共にBGMと連続で聞いても全く違和感のない仕上がり。

 とにかく重苦しいという一面がサウンドトラックとして人を選ぶが、劇判としての役割、サントラとしての構成、そして品質が作り手の確かな企画と実力で固められた良盤である。
 ファン向けである以上の価値は間違いなくあり、「映画的でハードなストリングス劇判」をアニメでこのように安定して聞けるのが嬉しく、そこを売りにできるアルバムである。
 とはいえ作品そのものも雰囲気や媒体ともに前提部分で人を選ぶのは間違いないので、中々勧めづらいのが難点である。

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