GHOST IN THE SHELL Original Soundtrack
GHOST IN THE SHELL Original Soundtrack
オススメ度 ★★★★★
発売:1995年11月22日 収録時間:45分 定価:3000円 レーベル:BMGビクター
全世界にその名を轟かす傑作「GHOST IN THE SHELL」のサウンドトラック。
押井守監督といえばかーいさんこと川井憲次である。
いっそ思想性すら漂う楽器使いや音響へのこだわりがこの作品の異常さの証明。
「川井節」を封印しながらもアーティスティックな部分と劇伴らしさを両立させた伝説的なサントラである。
No. | 曲名 | 時間 | 作・編曲 | 作詞 | 歌 |
1 | M01 謡I~Making of Cyborg | 4:29 | 川井憲次 | 川井憲次 | 西田和枝社中 |
2 | M02 Ghosthack | 5:14 | |||
3 | EXM Puppetmaster | 4:21 | |||
4 | M04 Virtual Crime | 2:42 | |||
5 | M05 謡II~Ghost City | 3:35 | 川井憲次 | 西田和枝社中 | |
6 | M06 Access | 3:16 | |||
7 | M07 Nightstalker | 1:45 | |||
8 | M08 Floating Museum | 5:05 | |||
9 | M09 Ghostdive | 5:53 | |||
10 | M10 謡III~Reincarnation | 5:45 | 川井憲次 | 西田和枝社中 | |
11 | Bonus track 挿入歌 毎天見一見! | 3:26 | Pong Chack Man | Fang Ka Wing |
押井守監督が世界に繰り出した伝説的なアニメ映画「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」のサントラ。
押井監督のスタイルといえばとにかく理詰め・理詰め・理詰め。そして理論と計算で究極的に完成度を高めようとしていたのは、音楽もであった。
音楽を担当するのは勿論お馴染み川井憲次氏。
まず監督は川井氏に「川井節」の封印を指示する。前作「パト2」でも封印を試みたが、思ったよりも色が出たからだ。
「川井節」と言えば煌びやかな金管、ここでストリングスが鳴る、ここでピアノが入る、などの定番のスタイルだ。それを除去し再構成するのは川井氏を全否定することに近く、よく川井氏も降りなかったと思う。
足がかりになったのは川井氏の持つタイの太鼓だったという。そこから太鼓にコーラスを重ねる発想に至ったとのことだが、クラシカルな声ではパーカスが消えてしまうと気付く。
ブルガリアンヴォイスはどうか、という発案もあったが、それの「プロ」が存在しないという壁にぶち当たる。
結果、たどり着いた結論は「日本民謡・お囃子」にその要素を求めるということであった。
それが西田和枝社中。西田和枝氏率いる、民謡集団である。
およそ今作におけるメロディは「謡」一つと言っていい。
ガムランなどの低音系打楽器を、女性の手のみで叩くことで生まれる不思議な響きと、いっそ楽器とも言える発声。そして幻想的な弦使いが交わることで「謡」は完成する。
他の曲にはメロディアスさはなく、環境音と打楽器で成り立っている。だがそれがいわゆる「劇伴っぽさ」というだけでなく、一つの作風として成り立っているのだから恐ろしい。
「謡」の作詞は川井憲次氏。万葉集を読みふけり、文法までもを研究したのだという。
川井氏は今作に関して、一つの危惧を抱いていたらしい。民謡がなんとなく乗った映像。これはもしかすると酷く滑稽で、我々は全世界に恥を晒すのではないかということだった。
しかし、いざ映像と合わせてみるとこれがまたどうさろう。あの怪作である。
90年代アニメにしても屈指の音響と異常なまでの音へのこだわりが、映像に更なる深みを与えた。
本作は、アニメサントラ史上でも上位の傑作である。「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」を視聴する機会や、今作を聴く機会があれば、迷わずに摂取してみてほしい。
きっと「こんなアニメがあるのか」という驚きがあるはずである。
ちなみにボーナストラックの曲は、作中でも一瞬だけしか流れたかった広東語の歌。指定条件の中から上海の広告代理店の推薦でようやく決まったボーカリスト・Fang Ka Wingの歌である。
ジャケットデザインは神宮司訓之氏。
押井監督のスタイルといえばとにかく理詰め・理詰め・理詰め。そして理論と計算で究極的に完成度を高めようとしていたのは、音楽もであった。
音楽を担当するのは勿論お馴染み川井憲次氏。
まず監督は川井氏に「川井節」の封印を指示する。前作「パト2」でも封印を試みたが、思ったよりも色が出たからだ。
「川井節」と言えば煌びやかな金管、ここでストリングスが鳴る、ここでピアノが入る、などの定番のスタイルだ。それを除去し再構成するのは川井氏を全否定することに近く、よく川井氏も降りなかったと思う。
足がかりになったのは川井氏の持つタイの太鼓だったという。そこから太鼓にコーラスを重ねる発想に至ったとのことだが、クラシカルな声ではパーカスが消えてしまうと気付く。
ブルガリアンヴォイスはどうか、という発案もあったが、それの「プロ」が存在しないという壁にぶち当たる。
結果、たどり着いた結論は「日本民謡・お囃子」にその要素を求めるということであった。
それが西田和枝社中。西田和枝氏率いる、民謡集団である。
およそ今作におけるメロディは「謡」一つと言っていい。
ガムランなどの低音系打楽器を、女性の手のみで叩くことで生まれる不思議な響きと、いっそ楽器とも言える発声。そして幻想的な弦使いが交わることで「謡」は完成する。
他の曲にはメロディアスさはなく、環境音と打楽器で成り立っている。だがそれがいわゆる「劇伴っぽさ」というだけでなく、一つの作風として成り立っているのだから恐ろしい。
「謡」の作詞は川井憲次氏。万葉集を読みふけり、文法までもを研究したのだという。
川井氏は今作に関して、一つの危惧を抱いていたらしい。民謡がなんとなく乗った映像。これはもしかすると酷く滑稽で、我々は全世界に恥を晒すのではないかということだった。
しかし、いざ映像と合わせてみるとこれがまたどうさろう。あの怪作である。
90年代アニメにしても屈指の音響と異常なまでの音へのこだわりが、映像に更なる深みを与えた。
本作は、アニメサントラ史上でも上位の傑作である。「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」を視聴する機会や、今作を聴く機会があれば、迷わずに摂取してみてほしい。
きっと「こんなアニメがあるのか」という驚きがあるはずである。
ちなみにボーナストラックの曲は、作中でも一瞬だけしか流れたかった広東語の歌。指定条件の中から上海の広告代理店の推薦でようやく決まったボーカリスト・Fang Ka Wingの歌である。
ジャケットデザインは神宮司訓之氏。