家族ゲーム ORIGINAL SOUNDTRACK

家族ゲーム ORIGINAL SOUNDTRACK

オススメ度 ★★★★★

発売:2013年5月29日 収録時間:44分 定価:2500円 レーベル:ポニーキャニオン



2013年放送、嵐・櫻井主演のドラマ「家族ゲーム」のサウンドトラック。
音楽には「マルサの女」が有名な本多俊之氏を抜擢。
おそらく数ある劇伴でも稀であろう、サクソフォン五重奏での演奏となる。
強烈な個性と作品世界のための音楽とが合わさった傑作。


N0.曲名時間作・編曲
1遊戯~opening~0:45本多俊之
2神話5:13
3枯渇1:05
4迷路#15:26
5虚無3:11
6偏執5:20
7疑惑1:05
8遊戯5:41
9迷路#23:34
10管鼓2:05
11寂寥5:49
12集塵1:05
13漆黒3:57
 何度も映像化されてきた本間洋平氏の小説「家族ゲーム」。
 1983年に松田優作主演映画で、次にドラマで鹿賀丈史、長渕剛と続き、2013年、嵐・櫻井翔を主演に再度映像化。
 アプローチとしては「家政婦のミタ」に近いやり口で、比較的ダークでショッキングな脚本が話題となる。

 音楽は「マルサの女」「茄子 アンダルシアの夏」を手がけたサックスの雄、本多俊之氏。
 今作の音楽は、おそらく映像業界でも稀であろうサクソフォン五重奏のみでの劇伴で構成されている。
 これにより出来上がる空気感が実にセンセーショナルで、作品の演出を大いに助けた。

 初めてOP「遊戯」を聞いた時の衝撃と言ったらなかった。「サクソフォンのみの劇伴!?」と度肝を抜かれた。
 不安も、日常も、ドラマティックな部分も、全てサクソフォンなのである。
 この強烈なOP曲を聞いた瞬間に過るものがあって、本多俊之の名前を見て逆に安心してしまった程である。
 「偏執」「迷路」のようにこの気持ちの良いサックスをそのまま日常テーマや暗躍テーマと併用出来てしまうのが素晴らしい音楽性だ。
 申し訳ない事に筆者は楽器をやっていないので断言はし難いが、恐らくこれは「真似したいサックス」であるのだと思う。
 「枯渇」「疑惑」のような実験音楽めいた小片も見事。

 最終話における「遊戯」フルバージョンの演出力は筆舌に尽くしがたい。
 作家性と、作品世界と、作品での使い方とが全て揃い踏んだ名曲である。
 非常に攻撃力の強いサウンドなので、44分という短さも全く気にならない。

 間違いなく、2013年邦ドラマサウンドトラックのハイライトである。
 これを聴かないのは勿体無い、とも言ってしまいたい程。
 「本多俊之」の名を心に刻むに相応しい名盤だ。
 デザインは澤本崇(signal.inc)。本編未視聴でもオススメ出来るので、是非聴いてみてほしい。

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