ノラガミ オリジナル・サウンドトラック 野良神の音
ノラガミ オリジナル・サウンドトラック 野良神の音
オススメ度 ★★★★★
発売:2014年2月19日 収録時間:67分 定価:3240円 レーベル:エイベックス・ピクチャーズ
BONESが「絶園のテンペスト」の流れで企画したと思しき「ノラガミ」のアニメ化。
神と悪霊の戦いなどを現代の舞台に置いたストレートな伝奇ものだ。
音楽担当には岩崎琢氏。和風モチーフで岩崎氏といえばある作品が思いつくが、
全く異なるアプローチをかけてくるあたりが流石の一言である。
N0. | 曲名 | 時間 | 作・編曲 | 作詞 | 歌 |
1 | Delivery | 2:19 | 岩崎琢 | ||
2 | Fluctuation | 2:28 | |||
3 | 野良譚 | 4:14 | 福岡ユタカ、Lotus Juice | ||
4 | Peanut | 3:00 | |||
5 | Quiet fear | 2:58 | |||
6 | Recollection | 2:58 | |||
7 | Lurk in the dark | 2:41 | |||
8 | Soul chosen | 2:18 | |||
9 | Afternoon usual | 1:42 | |||
10 | Reproach | 2:28 | |||
11 | Misogi | 3:40 | |||
12 | Roar of God | 3:02 | |||
13 | Blind spot | 3:23 | |||
14 | Creepy | 2:04 | |||
15 | Again | 2:03 | |||
16 | Shadow dancing | 2:31 | |||
17 | Grief | 3:20 | |||
18 | Family | 2:35 | |||
19 | Harmony | 2:50 | |||
20 | Back alley | 2:27 | |||
21 | Sorrow | 2:36 | |||
22 | Corollary | 2:51 | |||
23 | The One | 3:31 | jam | 小倉信哉 | |
24 | Conversation heart | 2:08 |
月刊少年マガジン連載、あだちとか氏による「ノラガミ」をBONESがアニメ化。
メイン読者層に女性が多いタイプの原作チョイスからして、「絶園のテンペスト」の流れを汲んだ企画と思われる。
人と人ならざるものの交流、日本の神々の戦いを現代の舞台で行う分かり易い伝奇ものだ。
音楽担当は岩崎琢氏。それだけで一つの安心感が生まれるほどにブランド力ある名前と化している。
岩崎氏と和風モチーフということで思い出される作品がある。「刀語」だ。
本作での岩崎音楽には一つ特徴的なことがあって、それはオーケストラ・ストリングスを排していること。
邦楽器的な音をモチーフに入れ込んで管弦を使った時、そこに生まれるのは時代劇大河ドラマ音楽なのである。
大河ドラマ音楽は既に「刀語」でやったこと。そして、「ノラガミ」は時代劇でなく伝奇ものだ。
過去のアプローチと同じことをするとか、解釈を間違うというのは岩崎氏としては断固受け入れ難いものだろう。
その上で「典型的な劇伴」を嫌う氏は、現代伝奇である本作を打ち込み、ギター、サックスなどで攻めるのである。
そして一番特徴的なのはスロバキアの放牧民族楽器・フジャラの音色だろう。
2m弱の管楽器であり、これを尺八のように用いることで「コテコテでない」邦楽的音色を作り出そうと試みている。
このフジャラはアルバム全般で用いられており、これを非日常の象徴的モチーフとしている構成だ。
なので和風音楽サントラとして扱うというよりも、数少ない「フジャラサントラ」として見るのが正しい。
「刀語」とは違う攻め方、とは言ってもまるきりではない。その証拠がメインテーマ「野良譚」である。
この「野良譚」は福岡ユタカ氏とLotus Juiceの合わせ技というまんま「Bahasa Palus」コンビ。
「メインテーマだけが目当てにされる」可能性があるのは岩崎氏としては不本意であるだろうが、その可能性を生むほどに福岡ユタカ氏のヴォイス使いには圧倒的な中毒性があり、「ノラガミの音楽はこれ!」と断言できる象徴的なものを感じさせてくれるのである。
このアルバムとは関係ないが、劇中での音楽使いがあまり面白くなかったのは残念なところ。
確かに今回のメロディアスさの少ない曲やリズムメインの曲などは演出が難しかったのだろうが……。
「いつも通り」と言うと言葉が悪いが、「いつも通りレベルの高い岩崎音楽」が聞ける一枚である。
テレビサイズすら排せる岩崎ネームバリューを思えば、氏のファンは勧めなくとも手に入れるだろうが。
サントラの発売も比較的早めだったのがなお好印象であった。
イラストは山崎秀樹氏。デザインは團夢見氏。
メイン読者層に女性が多いタイプの原作チョイスからして、「絶園のテンペスト」の流れを汲んだ企画と思われる。
人と人ならざるものの交流、日本の神々の戦いを現代の舞台で行う分かり易い伝奇ものだ。
音楽担当は岩崎琢氏。それだけで一つの安心感が生まれるほどにブランド力ある名前と化している。
岩崎氏と和風モチーフということで思い出される作品がある。「刀語」だ。
本作での岩崎音楽には一つ特徴的なことがあって、それはオーケストラ・ストリングスを排していること。
邦楽器的な音をモチーフに入れ込んで管弦を使った時、そこに生まれるのは時代劇大河ドラマ音楽なのである。
大河ドラマ音楽は既に「刀語」でやったこと。そして、「ノラガミ」は時代劇でなく伝奇ものだ。
過去のアプローチと同じことをするとか、解釈を間違うというのは岩崎氏としては断固受け入れ難いものだろう。
その上で「典型的な劇伴」を嫌う氏は、現代伝奇である本作を打ち込み、ギター、サックスなどで攻めるのである。
そして一番特徴的なのはスロバキアの放牧民族楽器・フジャラの音色だろう。
2m弱の管楽器であり、これを尺八のように用いることで「コテコテでない」邦楽的音色を作り出そうと試みている。
このフジャラはアルバム全般で用いられており、これを非日常の象徴的モチーフとしている構成だ。
なので和風音楽サントラとして扱うというよりも、数少ない「フジャラサントラ」として見るのが正しい。
「刀語」とは違う攻め方、とは言ってもまるきりではない。その証拠がメインテーマ「野良譚」である。
この「野良譚」は福岡ユタカ氏とLotus Juiceの合わせ技というまんま「Bahasa Palus」コンビ。
「メインテーマだけが目当てにされる」可能性があるのは岩崎氏としては不本意であるだろうが、その可能性を生むほどに福岡ユタカ氏のヴォイス使いには圧倒的な中毒性があり、「ノラガミの音楽はこれ!」と断言できる象徴的なものを感じさせてくれるのである。
このアルバムとは関係ないが、劇中での音楽使いがあまり面白くなかったのは残念なところ。
確かに今回のメロディアスさの少ない曲やリズムメインの曲などは演出が難しかったのだろうが……。
「いつも通り」と言うと言葉が悪いが、「いつも通りレベルの高い岩崎音楽」が聞ける一枚である。
テレビサイズすら排せる岩崎ネームバリューを思えば、氏のファンは勧めなくとも手に入れるだろうが。
サントラの発売も比較的早めだったのがなお好印象であった。
イラストは山崎秀樹氏。デザインは團夢見氏。