惡の華 サウンドトラック 惡の讃華
惡の華 サウンドトラック 惡の讃華
オススメ度 ★★★★★
発売:2013年7月3日 収録時間:71分 定価:3150円 レーベル:キングレコード
2013年アニメ化の問題作、押見修造氏原作の「惡の華」。
「蟲師」長濱博史監督による「ロトスコープ」作画が物議を醸す。
音楽を担当するのは深澤秀行氏。
アニメでは「ビビオペ」などを担当したが、本作での氏はこれまでのアニメでの氏とは別人と言っていい。
No. | 曲名 | 時間 | 作・編曲 |
1 | 錆びた雲 | 3:43 | 深澤秀行 |
2 | 佐伯奈々子 | 3:39 | |
3 | 春日高男 | 3:01 | |
4 | 予感と変容 | 8:05 | |
5 | 胞子 | 2:09 | |
6 | 影 | 4:35 | |
7 | 残像 | 2:53 | |
8 | 祈りの夕べ | 3:32 | |
9 | 満月と計画 | 2:48 | |
10 | 残響の華 | 6:33 | |
11 | 雑草の季節 | 4:13 | |
12 | 渇望の自覚 | 6:34 | |
13 | 共振 | 5:12 | |
14 | 華の痕 | 2:38 | |
15 | 告白 | 6:18 | |
16 | 仲村佐和の叫喚 | 5:37 |
別冊マガジン連載の話題作、押見修造氏の「惡の華」。
そのアニメ化は良くも悪くも話題に。
「ロトスコープ」撮影での手法だ。実写、及び邦画への意識が強い作風は物議を醸し、一方的に忌避する意見をよく見かけた。
その音楽を担当するのは深澤秀行氏。
これまで「いろはにほへと」「ビビッドレッドオペレーション」「魔法使いの夜」と、ストレートな管弦メインの作風を出していたが、本作ではまるで違う。
深澤氏は音響ユニット「電子海面」のメンバーであり、そちらのライブも行っているのだが、本作の氏は「アニメの音楽をやる深澤秀行氏」ではなく「電子海面の深澤秀行氏」と言えるだろう。
ただシンセサイザー、サンプリングを使っているというだけでは語弊がある。
恐らく聴き慣れない人からしてみれば「これは音楽と呼んでいいのか」となるほどの、ノイズめいた現代音楽風な空気感が本作を埋め尽くしている。
「不安」や「不穏」、「閉塞感」「惡の華」にあるどうしようもない乾燥、鬱屈、怨嗟がその電子音で作られ、Amazon紹介にある「音響叙事詩」の名に恥じない構成を生み出している。
決して万人に薦めて良いアルバムではない。
錆、自己嫌悪、泥沼、渇望、あらゆる静的でマイナスなモチーフを、ただゆったり、ゆっくりと沈めるようにピアノやコントラバスの音で作り出す本作は、作中の彼らと同じ感情を抱く人間、或いは抱くことに拒絶をしない人間のために奏でられている。
例えば、深夜に、自分の部屋の隅で、切れかけの電球の下で、ただ本作を流し続け、ルサンチマンや出口のないモラトリアムに浸る人間。
そういった人間が本作を聴き「惡」を発現させる聴き手と言える。
傑作であり、問題作である。
この息が詰まるような一時間強はアニメ盤に食い入った人間でないと評価できないかも。
しかし、息を詰める価値は必ずある。少なくとも自分は部屋の隅でそう感じた。
ブックレットには押見修造氏と深澤氏のコメントが掲載、デザインは久持正士氏、土橋聖子氏。
そのアニメ化は良くも悪くも話題に。
「ロトスコープ」撮影での手法だ。実写、及び邦画への意識が強い作風は物議を醸し、一方的に忌避する意見をよく見かけた。
その音楽を担当するのは深澤秀行氏。
これまで「いろはにほへと」「ビビッドレッドオペレーション」「魔法使いの夜」と、ストレートな管弦メインの作風を出していたが、本作ではまるで違う。
深澤氏は音響ユニット「電子海面」のメンバーであり、そちらのライブも行っているのだが、本作の氏は「アニメの音楽をやる深澤秀行氏」ではなく「電子海面の深澤秀行氏」と言えるだろう。
ただシンセサイザー、サンプリングを使っているというだけでは語弊がある。
恐らく聴き慣れない人からしてみれば「これは音楽と呼んでいいのか」となるほどの、ノイズめいた現代音楽風な空気感が本作を埋め尽くしている。
「不安」や「不穏」、「閉塞感」「惡の華」にあるどうしようもない乾燥、鬱屈、怨嗟がその電子音で作られ、Amazon紹介にある「音響叙事詩」の名に恥じない構成を生み出している。
決して万人に薦めて良いアルバムではない。
錆、自己嫌悪、泥沼、渇望、あらゆる静的でマイナスなモチーフを、ただゆったり、ゆっくりと沈めるようにピアノやコントラバスの音で作り出す本作は、作中の彼らと同じ感情を抱く人間、或いは抱くことに拒絶をしない人間のために奏でられている。
例えば、深夜に、自分の部屋の隅で、切れかけの電球の下で、ただ本作を流し続け、ルサンチマンや出口のないモラトリアムに浸る人間。
そういった人間が本作を聴き「惡」を発現させる聴き手と言える。
傑作であり、問題作である。
この息が詰まるような一時間強はアニメ盤に食い入った人間でないと評価できないかも。
しかし、息を詰める価値は必ずある。少なくとも自分は部屋の隅でそう感じた。
ブックレットには押見修造氏と深澤氏のコメントが掲載、デザインは久持正士氏、土橋聖子氏。