TVアニメ『あさっての方向。』 Original Sound Track “truth”

TVアニメ『あさっての方向。』 Original Sound Track “truth”

オススメ度 ★★★★★

発売:2007年1月24日 収録時間:74分 定価:3000円 レーベル:ランティス



コミックブレイドMASAMUNEの数少ないアニメ化作品「あさっての方向。」。
アニメは原作モノでは良し悪し言われる桜美かつし監督。
劇判には光宗信吉氏で、氏の良いところが上澄みのように抽出されている。
高水準でまとまったピアノ主体のニューエイジ・アルバム。


No曲名時間作曲編曲作詞
1組曲「あさっての方向。」3:52光宗信吉
2光の季節(TV size)1:33衣笠道雄大久保薫BABY FAZESuara
3真心2:19光宗信吉
4Summer Dream2:29
5夏祭り1:42
6願い石1:45
7Pure0:11
8お出かけ1:33
9On the Beach1:49
10小さな冒険1:35
11無邪気1:50
12出会い2:19
13Sad Things1:45
14願い1:38
15わだかまり2:11
16郷愁2:13
17困惑1:15
18子供時代1:40
19Jealousy3:01
20ぎこちない雰囲気1:20
21穏やかな日々1:39
22晩夏1:38
23寂しさ1:37
24逃亡者1:18
25力を合わせて1:30
26家族のように2:05
27小さな幸せ1:35
28High Tension2:09
29海の家1:40
30突然の別れ1:49
31どじっぷり1:10
32尾行1:10
33照れっぷり1:25
34光の季節 piano version2:05衣笠道雄光宗信吉
35スイートホームソング music box version1:36ゆうまお
36Summer Fantasy II0:45光宗信吉
37告白1:54
38和解1:46
39ありのままの自分1:07
40コマクサの花2:35
41スイートホームソング(TV size)1:33ゆうまお菊谷知樹ゆうまお
42Summer Fantasy I0:44光宗信吉
43眼差し1:18
 ママは小学四年生……ではなく、コミックブレイドMASAMUNE発ではほぼ唯一のアニメ化漫画「あさっての方向。」
 大人になることを焦った子供と子供に還りたい大人の望みが叶ってしまうところから始まる人間ドラマである。
 アニメは桜美かつし監督。原作モノをやると改変することが多いので揶揄されることが多い監督であるが、本作に関してはその方向性はうまくハマっていたと記憶している。
 原作後半の伝奇展開をオミットできるよう、ドラマ性をピックアップできるような形の改変を行った。
 その結果として、1クールの長さの中に適切なボリュームの物語が展開できていた。

 音楽担当は光宗信吉氏。   
 上品なピアノや弦楽を武器にさせると右に出るものはそういない氏であるが、本作は「ローゼンメイデン」とはまた違う形でその上澄みを目の当たりにできる。
 本作のコンセプトはニューエイジ・ミュージックである。
 大きな軸として、ピアノでの心情描写音楽を一貫しており、管弦やシンセを使用したとしてもその中心にはピアノが存在しており、それこそが本作の大きな魅力である。
 「真心」はそういった作風を象徴する名曲である。
 階段状に上がっていくピアノの連続と、より高音でサビに入るこの曲こそ、「あさって」の湿った心情描写を象徴する。
 日常描写を行う曲でもその流れを壊すことなく、かなり聞き心地の良い曲が続き、光宗氏の曲で稀にある「音が派手過ぎてうるさい」というような現象も見られない。

 そして物語に合わせた構成として、終盤には「真心」のアンサーBGMである「コマクサの花」が出迎えてくれる。
 同じような曲構成にもかかわらず少し音がズレただけで生まれる爽やかさと、そこに管弦楽が混ざることで1クールかけて変わっていった「なにか」を描写してくれる、名構成である。
 一貫された曲のコンセプトとドラマ性を伴うアルバム構成という、「サウンドトラック」というものの良さを凝縮して提供してくれる。

 ピアノと心情音楽、という分かり易い割に、ここまでの精度のものは珍しい、と思える一枚。
 光宗サントラの中でもここまで余計な要素のないピアノアルバムはそう聞けない。光宗氏に限らずともそうであろう。
 ピアノのいいサントラといえばこれ、と名前を挙げられる名盤である。

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