TVアニメ「バトルスピリッツ」『少年激覇ダン』&『ブレイヴ』オリジナルサウンドトラック バトルスピリッツ馬神弾メモリーズ

TVアニメ「バトルスピリッツ」『少年激覇ダン』&『ブレイヴ』オリジナルサウンドトラック バトルスピリッツ馬神弾メモリーズ

オススメ度 ★★★★★

発売:2011年8月10日 収録時間:140分 定価:3200円 レーベル:ランティス



「記録よりも記憶に残る作品を」と2年間を駆け抜けたバトスピサーガ。
バトスピアニメシリーズとしては2作目と3作目に該当する作品のサントラ。
瀬川英史氏による小編成ながらもダイナミックな世界観を展開。
疑似オーケストラとデジロックが繰り広げる英雄譚音楽。


No.Disc 1時間作曲編曲作詞
1Battle No Limit!(TV SIZE)1:34影山ヒロノブ鈴木マサキ影山ヒロノブJAM Project
2少年激覇メインテーマ3:13瀬川英史
3異界グラン・ロロ 序曲3:13
4赤の光主 ダン2:00
5魔女マギサ華麗な戦い2:02
6華実の蝶1:55
7超常現象2:09
8ゲートオープン界放!2:18
9バトルフィールド2:31
10スピリット攻防戦2:12
11雷皇龍ジークヴルム出現1:39
12起死回生1:57
13白銀の戦士1:29
14百瀬兄妹の思惑1:24
15僕のベイベ!1:25
16ズングリーは友達1:27
17ホライゾンラダー1:54
18バトスピ・チャンピオンシップ2:44
19Xレア召喚0:36
20静かな緊張1:43
21苦しい戦い3:16
22コアブースト1:51
23ハイランカーズ・バトル2:16
24異界王2:36
25ジークヴルム・ノヴァ2:37
26幻羅星龍 超覚醒3:24
27リインカーネーション3:17
28緑の暴風がやむとき2:51
29終曲・さらばグラン・ロロ3:31
30君がまってる(TV SIZE)1:34及川光博ローズ高野及川光博
31バトル!ギャラクシーステップ!1:30太田美知彦鈴木達也カリスマ☆銀河ギャラクシー渡辺(諏訪部順一)
No.Disc 2時間作曲編曲作詞
1free(TV SIZE)1:34逹瑯、加藤貴之加藤貴之逹瑯カラス
2序曲~未来世界1:54瀬川英史
3ブレイヴ・メインテーマ3:27
4失われた二年間2:26
5再会そして旅立ち1:26
6乱世を漂う1:19
7麗しのソフィア号発進2:18
8まゐの思い遣り1:42
9コア・ブリット1:48
10魔族襲来1:22
11バトルフィールドの風2:08
12コアの痛み2:36
13太陽龍飛翔2:19
14ブレイヴ!2:43
15属性専用効果2:22
16女王ギルファム1:10
17オクトを目指して2:00
18ザジの陰謀1:27
19はまぐれフローラ1:58
20悲しい思い出2:03
2112宮Xレア降臨2:32
22乱世を切り裂く1:53
23ダンの憂鬱2:29
24我が友との会話1:57
25気合のセンチュリオン1:49
26恋人達の午後2:25
27過去を乗り越えて1:45
28ダブルノヴァの鼓動2:33
29宇宙を駆ける光龍騎神3:32
30怨念のスピリット3:48
31神々の砲台3:15
32終曲~みんな大好き2:45
33熱烈ANSWER(TV SIZE)1:32増田武史畑亜貴小野大輔
 TCG「バトルスピリッツ」アニメシリーズ、西森章監督による第2 、3シリーズ。
 馬神弾を主人公とした「馬神弾サーガ」或いは「異界見聞録シリーズ」である。
 特に第3シリーズである「ブレイヴ」は「記録よりも記憶に残る作品」というコンセプトのもと、かなりハードなストーリーとなり、日曜朝7時の放送であったことから「深夜31時アニメ」と揶揄されるほどであった。
 1作目「少年突破バシン」では音楽担当は大谷幸氏であったが、第2シリーズ以降は瀬川英史氏が担当している。
 瀬川氏自身のキャリアとしても初のアニメ劇判となる。
 2作目「少年激覇ダン」の時点でサントラの発売はファンより熱望されていたが、「ブレイヴ」と合作となる形で実現された。

 本作劇判は、キッズアニメ劇判の中でもトップクラスの完成度と考えている。   
 基本的に朝アニメは長い音楽による長尺1シーンの演出は多くない(朝の視聴者の集中力と、朝の騒音に由来すると思われる)。
 しかし上記曲目のように、本作は3分越えの長尺BGMがかなり多く作られており、しかも劇中ではきちんと長尺のまま使用されているのである。
 さらに瀬川氏の作風とも繋がるが、特にブレイヴの方は生楽器の編成は小規模にもかかわらず、ファンタジーバトル作品として申し分ないスケール感の疑似オーケストラを展開してくれるのだ。

 「少年激覇ダン」のBGMである一枚目は、王道ファンタジー方面の音楽が基盤となっているため、オーケストラ色が強い。
 実際、2枚目と比べると生楽器編成も大規模であることがそれを象徴している。
 「少年激覇メインテーマ」を代表に、ヒロイックで爽快感のある疑似オーケストラを展開し、「激覇」の音楽は少年漫画なのだということをアピールする。
 疑似オケ以外でも「赤の光主 ダン」のような爽やかなアンビエントもあり、カード紹介コーナーで使用されていたのがかなり印象的である。

 筆者の本命はどちらかというと二枚目の「ブレイヴ」のサントラだ。
 デジロックを基調としたジャズ風の演奏や疑似オーケストラで展開し、1枚目とは打って変わって大人の空気か醸し出される。
 「ブレイヴ・メインテーマ」「コア・ブリット」「はまぐれフローラ」のような勢いあるジャズ風ナンバー、「バトルフィールドの風」「コアの痛み」「12宮Xレア降臨」のようなハードで切羽詰まった疑似オケなど、飽きることないアルバム構成だ。
 中でもカード紹介コーナーや作品テーマである「ブレイヴ」シーンで使用された、勇壮な疑似オケからスピード感あるデジロックへの移行が鮮やかに決まる「ブレイヴ!」は白眉であり、本作を代表する1曲だ。

 そして本作を語るには欠かせない終盤用の3曲が、「ダブルノヴァの鼓動」「宇宙駆ける光龍騎神」「怨念のスピリット」である。
 特に前者2曲のタイトルは一部のオタクには見覚えのある文言であろう。「Zの鼓動」「宇宙を駆ける」……そう、Zガンダムである。
 「馬神弾サーガ」は一人の少年が戦いの果てに大人になり、英雄となり、天へ召され、神に至る物語。
 「ブレイヴ」における馬神弾は、Zガンダム~逆シャアにおけるアムロと似た道を辿っている人物であり、本作はその壮絶な戦いを演出しているのだ。
 西森監督は富野由悠季監督作品のVガン~ターンAに参加してるだけに、あながち冗談でもない……はず。
 「宇宙駆ける光龍騎神」は勇壮な召喚の金管、戦闘を描写する神々しいコーラス、そして戦いと因縁にトドメをさすストリングス(そして自然に挿入される合体音)がたまらない名曲で、是非とも聞いていただきたい珠玉の逸品である。
 ちなみに「怨念のスピリット」のオンド・マルトノは例によって原田節氏の演奏である。

 TCGアニメ、朝番組、キッズアニメ、そういった本作を括れる枠組みの中でも、指折りの上位と言える名盤である。
 筆者は本作より瀬川英史氏を認知し、その後の動向を追いかけた。
 4クール番組二つ分のBGMの傑作選なので、ファンとしては「あれがない!」となるものが多いが、それでも受け入れられる勢いがある。
 キッズアニメの音楽でも屈指の一枚。まさに「記憶に残る一枚」。

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