ASTORO BOY 鉄腕アトム ORIGINAL SOUNDTRACK SCORE
ASTORO BOY 鉄腕アトム ORIGINAL SOUNDTRACK SCORE
オススメ度 ★★★★☆
発売:2003年3月19日 収録時間:47分 定価:2520円 レーベル:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
誰もが知っている手塚治虫原作「鉄腕アトム」の2003年リメイク版アニメのサントラ。
流石のタイトルだけあって予算も多いのか、日本フィルハーモニー管弦楽団によるフルオーケストラ。
作曲は後に「平清盛」でも大活躍する、現代音楽家の肩書きも持つ吉松隆氏。
キャラクターごとにモチーフ化されたメロディ・楽器と、完成度の高いオーケストレーション。
No. | 曲名 | 時間 | 作曲 | 編曲 |
1 | アストロボーイ | 2:56 | 吉松隆 | |
2 | アトムのワルツ | 2:36 | ||
3 | 科学省長官:お茶の水博士 | 2:32 | 吉松隆 | 吉松隆、長生淳 |
4 | 天馬博士の野望 | 2:22 | ||
5 | 大都会の影 | 3:02 | 吉松隆 | |
6 | ポリス出動 | 1:41 | ||
7 | 悲しき英雄 | 3:11 | ||
8 | ウランのワルツ | 1:46 | ||
9 | 宇宙艇発進 | 2:32 | 吉松隆 | 吉松隆、長生淳 |
10 | 断片化した回路 | 1:53 | 吉松隆 | |
11 | スキップらんらん | 1:46 | ||
12 | 異次元へ | 2:26 | 吉松隆 | 吉松隆、長生淳 |
13 | 悲壮 | 3:31 | 吉松隆 | |
14 | 地上最大のロボット | 1:55 | 吉松隆 | 吉松隆、長生淳 |
15 | バトル・フィールド | 2:06 | 吉松隆 | |
16 | 異郷へ | 2:15 | ||
17 | コラール | 1:55 | ||
18 | ウランのワルツ(小編成版) | 1:28 | 吉松隆 | といぼっくす |
19 | 異郷へ(小編成版) | 2:50 | ||
20 | アトムのワルツ(小編成版) | 3:10 |
日本の漫画とアニメを語る上で欠かせない大作家であり、その代表作である国民的漫画アニメ、手塚治虫の「鉄腕アトム」。
2003年に、小中和哉監督をはじめ東映特撮スタッフなどを交え満を持してリメイクされたのがこの「ASTORO BOY 鉄腕アトム」である。その一枚目のサントラ。
その音楽を担当したのが吉松隆氏。
後に大河ドラマ「平清盛」でEL&Pの「タルカス」のオーケストラ版を使用し多くの層に反響を得ることになる作曲家だが、今作がアニメ劇伴のデビューとなる。
演奏するのは日本フィルハーモニー交響楽団で、指揮にはピアニストでもある渡邊一正氏が起用されている。
今作において、元祖「鉄腕アトム」のメロディを使用するのは版権的なNGがあったとのことで、懐かしメロディ的な物は一切ない。
しかしフルオーケストラによる「文明の発展とそれによる悲劇」が根底に敷かれる作風は、そんな不満など全く感じさせないのである。
奇しくも翌年の「鉄人28号」リメイクも劇伴テーマとして同じ要素を抱えていたとあって、巨匠作品の解釈の似通りを楽しませてくれる。
やはり素晴らしいのはその世界観に見合った重量である。
勇壮な時は子供の親しめるヒロイックな「アストロボーイ」「宇宙艇発進」や、激しく重厚な戦いを演出する「地上最大のロボット」「バトル・フィールド」などがまさしくそれだ。
そして個人的に名曲として挙げたいのは「悲壮」。
科学技術の発展した未来世界における悲劇を予想した3分半のメロディは、前述の「鉄人」を彷彿とさせ、聞くものをその世界観にのめり込ませる。
大河ドラマ的に鉄腕アトムを解釈した今作のためには欠かせない名曲である。
キャラクターごとにライトモチーフとなるメロディとその楽器が決められている。
例えばアトムのテーマである「アストロボーイ」や「アトムのワルツ」には勇壮なメロディや分かり易い管弦楽器が使われている。
また、お茶の水博士のテーマ「科学省長官:お茶の水博士」にはファゴットなど低音の木管楽器、「ウランのワルツ」にはフルートやピッコロなど、といった具合だ。
それによりソリスト扱いのパートが生まれ、ラスト3曲の小編成版も録音しよう、となったとのこと。
小編成版を演奏するといぼっくすは「プレイアデス舞曲集」で吉松氏との縁があるクラシカルサクソフォン奏者、大城正司を中心としたアコースティックユニット。
日本フィルに負けない完成度で心地よさを演出してくれる。
高水準にまとまり、生音をひたすら堪能できる良いアルバム。
少しパンチが弱く、時間も短めかもしれないが、アトムという題材とこの完成度がモノを言う。
ジャケットデザインはJAM鈴木。
ブックレットには作曲の吉松隆氏とプロデューサーの磯田健一郎氏のコメントと、数枚のイラスト。見かけたら手に取ってみて欲しい聴きやすい作品なので、是非。
2003年に、小中和哉監督をはじめ東映特撮スタッフなどを交え満を持してリメイクされたのがこの「ASTORO BOY 鉄腕アトム」である。その一枚目のサントラ。
その音楽を担当したのが吉松隆氏。
後に大河ドラマ「平清盛」でEL&Pの「タルカス」のオーケストラ版を使用し多くの層に反響を得ることになる作曲家だが、今作がアニメ劇伴のデビューとなる。
演奏するのは日本フィルハーモニー交響楽団で、指揮にはピアニストでもある渡邊一正氏が起用されている。
今作において、元祖「鉄腕アトム」のメロディを使用するのは版権的なNGがあったとのことで、懐かしメロディ的な物は一切ない。
しかしフルオーケストラによる「文明の発展とそれによる悲劇」が根底に敷かれる作風は、そんな不満など全く感じさせないのである。
奇しくも翌年の「鉄人28号」リメイクも劇伴テーマとして同じ要素を抱えていたとあって、巨匠作品の解釈の似通りを楽しませてくれる。
やはり素晴らしいのはその世界観に見合った重量である。
勇壮な時は子供の親しめるヒロイックな「アストロボーイ」「宇宙艇発進」や、激しく重厚な戦いを演出する「地上最大のロボット」「バトル・フィールド」などがまさしくそれだ。
そして個人的に名曲として挙げたいのは「悲壮」。
科学技術の発展した未来世界における悲劇を予想した3分半のメロディは、前述の「鉄人」を彷彿とさせ、聞くものをその世界観にのめり込ませる。
大河ドラマ的に鉄腕アトムを解釈した今作のためには欠かせない名曲である。
キャラクターごとにライトモチーフとなるメロディとその楽器が決められている。
例えばアトムのテーマである「アストロボーイ」や「アトムのワルツ」には勇壮なメロディや分かり易い管弦楽器が使われている。
また、お茶の水博士のテーマ「科学省長官:お茶の水博士」にはファゴットなど低音の木管楽器、「ウランのワルツ」にはフルートやピッコロなど、といった具合だ。
それによりソリスト扱いのパートが生まれ、ラスト3曲の小編成版も録音しよう、となったとのこと。
小編成版を演奏するといぼっくすは「プレイアデス舞曲集」で吉松氏との縁があるクラシカルサクソフォン奏者、大城正司を中心としたアコースティックユニット。
日本フィルに負けない完成度で心地よさを演出してくれる。
高水準にまとまり、生音をひたすら堪能できる良いアルバム。
少しパンチが弱く、時間も短めかもしれないが、アトムという題材とこの完成度がモノを言う。
ジャケットデザインはJAM鈴木。
ブックレットには作曲の吉松隆氏とプロデューサーの磯田健一郎氏のコメントと、数枚のイラスト。見かけたら手に取ってみて欲しい聴きやすい作品なので、是非。