「C」 ORIGINAL SOUNDTRACK
「C」 ORIGINAL SOUNDTRACK
オススメ度 ★★★★★
発売:2011年8月17日 収録時間:69分 定価:3059円 レーベル:KRE
毎度毎度挑戦的な作品を作る中村健治監督によるノイタミナアニメ「C」。
貨幣価値を問う風刺的な作風と音をアンサンブルさせるのは岩崎琢氏。
ラップ、ストリングス、クラブミュージックと安定感がありながらも前へ前へと進む作風だ。
当時時点での「最高傑作というより限界」とまで当人に言わしめたアルバム。
No. | 曲名 | 時間 | 作曲 | 編曲 | 作詞 | 歌 |
1 | High Heel Shoes In Pink | 3:34 | 岩崎琢 | かの香織 | 伊集加代 | |
2 | Invisible Hand | 3:45 | Lotus Juice | |||
3 | Stay away from blood money! | 3:26 | Lotus Juice | |||
4 | incence | 2:49 | ||||
5 | Mere child’s play | 2:14 | ||||
6 | Taxi heaven | 2:37 | ||||
7 | Key currency | 2:43 | ||||
8 | H.W.Complex no’1 | 3:12 | ||||
9 | Prospect theory | 2:49 | ||||
10 | Bondage head | 4:03 | ||||
11 | antiphona | 2:59 | Yucca | |||
12 | Marx Syndrome | 2:48 | ||||
13 | Public acceptance | 2:52 | ||||
14 | Charlie’s suffering | 2:58 | ||||
15 | Passed off | 2:30 | ||||
16 | opus | 2:39 | ||||
17 | Sabbaticus | 2:45 | ||||
18 | H.W.Complex no’2 | 2:41 | ||||
19 | Insight | 2:25 | ||||
20 | C | 4:06 | L-VOKAL | |||
21 | The Wealth of Nations | 4:11 | ||||
22 | High Heel Shoes In Pink(pf ver’) | 2:13 | ||||
23 | マトリョーシカ(TV Version) | 1:32 | 坂倉心悟 | 光村龍哉 | NICO Touches the Walls | |
24 | RPG(TV Version) | 1:30 | school food punishment、江口亮 | 江口亮 | 内村友美、江口亮 | school food punishment |
「モノノ怪」でその名を知らしめた中村健治監督がノイタミナで挑んだ意欲作「C」。
音楽は岩崎琢氏で、音響は長崎行男氏。「エンジェルハート」以来の競演である。エレキギターには今堀恒雄氏も参加。
「結界師」以降の岩崎氏の集大成のようなアルバムだな、という印象。
冒頭、いきなり最終話で使用した伊集加代氏の「High Heel Shoes In Pink」を持ってくる構成は、「COWBOY BEBOP BLUE」を彷彿とさせる小粋な曲順。
伊集加代氏といえばルパンのイントロや「ダバダ~」で有名なスキャットの女王。しかし有名な高音の声ではなく、彼女の低音が聞けるのが面白い。
その次の「Invisible Hand」は「貨幣」をモチーフにする本作を象徴する一曲。歌詞にアダム・スミスの「国富論」第四編第二章を引用するというトリッキーなトラックである。
それも岩崎氏お馴染みのラッパー・LotusJuiceの手によって岩崎ラップへ早変わりし、「グレンラガン」の「どうだ!俺のトランペットは凄いだろ!!」に似たYOKAN氏のエレキペットが印象的。そしてアダム・スミスの引用ということで、タイトルも「見えざる手」なのである。
ちなみに「antiphona」の歌詞はグレゴリオ聖歌の交誦と詩編からの引用。
今作から岩崎サントラに現れる「H.W.Complex」シリーズも気になりどころだ。岩崎氏曰く「ハリウッドの尻を追った曲に対する自責とこれがいいんでしょ?という皮肉」とのこと。なんとなーく壮大っぽいオーケストラにバンドサウンドを乗っける作風のことなのだろうか?
聞こえは良いかもしれないが、ハリウッド音楽に近づけば近づくほど耳残りが薄くなるので、個人的にも微妙。その「あざとさ」が求められているのかもしれないが、それだけだったら作家はいらない。
全体にちりばめられた「切羽詰まったような必死感」のあるオケやエレキトランペットが良い。
これが「C」の日常の閉塞感とディールの危機感とマッチしていて良く耳に残る。
「Bondage head」のようなテクノ音楽もまた現代的な世界観と合致して一曲して完成しているし、合間にあるピアノなども決して置きに行くような曲ではなく、その悲壮感の息抜きとして機能している。
流石に岩崎氏本人が「この時点での限界が露呈した」というだけあり、本当に隙がない。
曲順構成もきちんと意識ある配置が感じられるので、一枚のアルバムとしても好ましい。
最近の岩崎氏には珍しくOPEDのテレビサイズが収録されてしまっているので、少し構成を崩すか。
しかし本編でもかなり効果的に使われ、サントラとしてもアルバムとしても大いなる異議のある一枚である。
ちなみにブックレットでは岩崎氏お馴染みの毒……もといコメントが掲載。必見である。イラストはmebae氏、背景は草薙の西俊樹氏。
音楽は岩崎琢氏で、音響は長崎行男氏。「エンジェルハート」以来の競演である。エレキギターには今堀恒雄氏も参加。
「結界師」以降の岩崎氏の集大成のようなアルバムだな、という印象。
冒頭、いきなり最終話で使用した伊集加代氏の「High Heel Shoes In Pink」を持ってくる構成は、「COWBOY BEBOP BLUE」を彷彿とさせる小粋な曲順。
伊集加代氏といえばルパンのイントロや「ダバダ~」で有名なスキャットの女王。しかし有名な高音の声ではなく、彼女の低音が聞けるのが面白い。
その次の「Invisible Hand」は「貨幣」をモチーフにする本作を象徴する一曲。歌詞にアダム・スミスの「国富論」第四編第二章を引用するというトリッキーなトラックである。
それも岩崎氏お馴染みのラッパー・LotusJuiceの手によって岩崎ラップへ早変わりし、「グレンラガン」の「どうだ!俺のトランペットは凄いだろ!!」に似たYOKAN氏のエレキペットが印象的。そしてアダム・スミスの引用ということで、タイトルも「見えざる手」なのである。
ちなみに「antiphona」の歌詞はグレゴリオ聖歌の交誦と詩編からの引用。
今作から岩崎サントラに現れる「H.W.Complex」シリーズも気になりどころだ。岩崎氏曰く「ハリウッドの尻を追った曲に対する自責とこれがいいんでしょ?という皮肉」とのこと。なんとなーく壮大っぽいオーケストラにバンドサウンドを乗っける作風のことなのだろうか?
聞こえは良いかもしれないが、ハリウッド音楽に近づけば近づくほど耳残りが薄くなるので、個人的にも微妙。その「あざとさ」が求められているのかもしれないが、それだけだったら作家はいらない。
全体にちりばめられた「切羽詰まったような必死感」のあるオケやエレキトランペットが良い。
これが「C」の日常の閉塞感とディールの危機感とマッチしていて良く耳に残る。
「Bondage head」のようなテクノ音楽もまた現代的な世界観と合致して一曲して完成しているし、合間にあるピアノなども決して置きに行くような曲ではなく、その悲壮感の息抜きとして機能している。
流石に岩崎氏本人が「この時点での限界が露呈した」というだけあり、本当に隙がない。
曲順構成もきちんと意識ある配置が感じられるので、一枚のアルバムとしても好ましい。
最近の岩崎氏には珍しくOPEDのテレビサイズが収録されてしまっているので、少し構成を崩すか。
しかし本編でもかなり効果的に使われ、サントラとしてもアルバムとしても大いなる異議のある一枚である。
ちなみにブックレットでは岩崎氏お馴染みの毒……もといコメントが掲載。必見である。イラストはmebae氏、背景は草薙の西俊樹氏。