TVアニメ『グラスリップ』オリジナルサウンドトラック「音楽の欠片」

TVアニメ『グラスリップ』オリジナルサウンドトラック「音楽の欠片」

オススメ度 ★★★★★

発売:2014年9月24日 収録時間:73分 定価:3240円 レーベル:ランティス



P.A.WORKSが繰り出す思春期がどろどろしている既視感のあるオリジナルアニメ。
少し視点がごちゃつく難しい脚本に不評の声が出ていた印象がある。
音楽はこの時期ラブコメ劇判が続く松田彬人氏。
しかし今回は氏のイメージをガラッと変える、クラシカルな弦楽四重奏を中心にした音楽の強いアニメ劇判。


No.曲名時間作曲編曲作詞
1カケラを探して(Theme of glasslip 弦楽四重奏 第1楽章)4:31松田彬人
2変わってゆく戸惑い(Theme of glasslip 弦楽四重奏 第2楽章)4:33
3優しくきらめく未来(Theme of glasslip 弦楽四重奏 第3楽章)4:43
4瞬き一つが精一杯(Theme of glasslip 弦楽四重奏 第4楽章)4:35
5真葛0:10
6短い夏、眩しい日々1:34
7君しか見えない輝く未来1:53
8ロジャー0:10
9カケラは見つからない(Theme of glasslip 再編曲 第1楽章)2:06
10波の音を聴きながら(Theme of glasslip 再編曲 第2楽章)1:52
11不意に違って見えた景色(Theme of glasslip 再編曲 第3楽章)2:16
12いつもの笑顔、笑いあう今(Theme of glasslip 再編曲 第4楽章)1:55
13フッサール0:08
14トロピカルジュースとお喋り(カフェ「カゼミチ」)2:10
15アイスティーラテと恋(カフェ「カゼミチ」)1:35
16ジンジャエール今日は辛口(カフェ「カゼミチ」)1:50
17エスプレッソコーヒーと涙(カフェ「カゼミチ」)1:56
18積乱雲、風やや強く、波穏やか1:56
19月が奇麗1:49
20いつまでも忘れたくない日々2:07
21言葉が踊るひととき2:06
22君と出掛けよう1:50
23繋がる心、高鳴る心1:43
24ほんのすれ違い1:42
25つめたいわだかまり1:38
26届くことのない温もり2:29
27夏の日と君の声(String Arrange ver.)1:35渡辺拓也松田彬人
28透明な世界(Piano Arrange ver.)1:57佐々木淳
29唐突な当たり前の孤独9:54松田彬人
30ジョナサン0:12
31ルーセントアイズ(Vocalise ver.)1:07矢鴇つかさChouCho
32夏の日と君の声(TV size ver.)1:33渡辺拓也ChouCho
33透明な世界(TV size ver.)1:31佐々木淳nano.RIPEきみコnano.RIPE
 P.A.WORKSのお馴染み、思春期と恋愛とどろどろした人間模様が見れる「グラスリップ」。
 港町を舞台にした画面は相変わらずこれでもかと清涼感に溢れる。そこでどろどろするから魅力がある。
 とはいえ、人間模様そのものの比重がキャラクターの魅力作りを上回ってしまった印象も否めない。力の入れすぎ、入れ方を間違えた、そんなようなアニメだった印象。

 
 音楽担当は虹音こと松田彬人氏。「中二病でも恋がしたい!」「僕らはみんな河合荘」など、ライトなラブコメディを器用にまとめている、というイメージの強い人であったが、今回はかなり攻めてくる。
 本作の中心核はクラシカルな弦楽四重奏。
 7曲のカルテット編成をメインの武器に、音楽が映像を操作してしまうレベルのかなりヘビーに響く室内音楽なのだ。
 これまでの松田氏のサントラでは決して見られない、非常に強度のある劇判だ。
 それをいきなり聞かせてくるのが18分間の「Theme of glasslip 弦楽四重奏」である。
 このようなものをアニメ劇判に、それも恋愛ドラマにおけるメインテーマBGMに据えるという事は、「グラスリップ」という作品の演出プランがかなり舞台演劇に近付いていく事を意味していると感じる。
 何せ、これほどまでにパワフルなものに見合う脚本というのはそれこそただの恋愛劇ではおっつかない。
 それが極まるのが、12話で使用された「唐突な当たり前の孤独」。作品のクライマックスのキメBGMなのだが、ご覧の通り10分弱という長尺。ここがコケたら駄作以外の何者でもなかったであろう、ギャンブルなやり口だ。
 この曲を流しきるプランを持つということは、そのための積み重ねもきちんと用意してあるということだ。そういう肩の力が「グラスリップ」の評価の源泉である気がする。
 四重奏の注文が監督によるものという事からもそれが伺える。

 
 カルテット以外のジャズ等の室内音楽も一切の手抜きがなく、それ故にこのアルバムは絶品だ。
 松田氏が本作をイメージする事の鍵にしたのはハイドンだったようだが、単なるクラシックオマージュに終わらない、「作品の為の音楽」と「アルバムの為のオマージュ」が共存した、疾走感ある室内音楽アルバムが生まれたように思う。
 作品そのものは評価が分かれるが、このサントラは2014年の中でも指折りの一枚と言っていいのではなかろうか。
 ブックレットには音響監督の辻谷耕史氏と松田氏のコメントが掲載。ジャケットイラストは竹下美紀氏。デザインは安斎秀(ベイブリッジ・スタジオ)。

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