機巧奇傳ヒヲウ戦記 オリジナル・サウンドトラック1

機巧奇傳ヒヲウ戦記 オリジナル・サウンドトラック1

オススメ度 ★★★★★

発売:2000年12月6日 収録時間:52分 定価:3045円 レーベル:ビクターエンタテインメント



BONES初のオリジナルアニメ「機巧奇傳ヒヲウ戦記」。
時代劇にほんの少しのSF要素を加えた冒険活劇である。
音楽担当は福岡の伝説的ロックバンド・ヒートウェイヴのフロントマン、山口洋氏。
山と草むらを駆けまわる名盤ロックサウンド。


No.曲名時間作曲編曲作詞
1ヒヲウの夕暮れ2:38山口洋
2ヒヲウのテーマ1:26
3険しい旅4:12
4戦士の休息2:56
5旅の景色1:21
6ヒヲウのロックンロール1:51
7切なさを知らず3:16
81:45
9風陣2:38
10襲撃3:41
11蒸気機巧1:18
12灰色の郷2:26
13ウィンディ・ディ4:41
14シャムロック・ショア3:39
15機の民2:58
16テツ1:20
17カントリー・ジェントルマン2:00
18コロコロ機巧0:39
19深雪1:59
20ソー ユゥ ウォント トゥ ビー2:27
21CROSSROAD3:35Little VoiceHAL菅原みき遠藤久美子
 カウボーイビバップを機に独立したサンライズ第2スタジオがBONESとなった。
 同年に劇場版エスカフローネのアニメーション制作も行ったが、本作「機巧奇傳ヒヲウ戦記」がBONES初の完全元請オリジナルアニメである。
 逢坂浩司氏の温かみあるキャラクターデザインと、幕末を舞台にした虚実絡み合う冒険活劇の快作アニメーション。

 音楽担当は山口洋氏。
 九州は福岡で生まれた伝説的バンド・ヒートウェイヴのギター・ボーカル担当。
 なぜ氏がアニメ劇判という一見無縁の舞台に抜擢されたかというと、音楽Pの野崎圭一氏のほぼ独断とのことである。
 「人間の体温と木の香りがする音楽はないか」という要望にぴったりハマったのが山口氏ということだ。
 氏としても映画音楽を作ってみたかったということで乗り気になったという。
 アミノテツロー監督が氏の想像していたアニメオタク像とはいい意味で異なっていた(!)などの面白エピソードもある。
 テーマは「ガキは鼻水垂らして野を駆けろ」。
 山口氏単独のクレジットだが、バンドマンは完全にヒートウェイヴ。テーマ通り、優しくも荒々しい音楽を展開する。

 1曲目「ヒヲウの夕暮れ」から本作のベストバウトである。   
 この曲をバラエティ番組で聞いたことのある人は少なくないだろう。「鉄腕DASH」の福島DASH村をはじめ、数多くの「自然や田舎を取材した番組」で頻繁に流れている。
 アコースティックな構成で惜しみなく使われる西洋民俗楽器が、西洋感以上にどこか懐かしい日本の土着的な雰囲気を醸し出す名曲。
 この曲はヒートウェイヴの持ち曲「ガーディアンエンジェル」のインスト版に該当する。
 本作BGMにはちょくちょくヒートウェイヴ曲のインスト版があり、興味がある人はぜひヒートウェイヴのアルバムにも手を伸ばすことをお勧めする。

 インストの名OP「ヒヲウのテーマ」、緊迫感を演出しながらもヒートウェイヴの音楽性を失わず成り立つ名BGM「襲撃」など、非凡なBGMが続く。
 非常に澄んだ音響でこれを聴けるのにも理由があり、本作BGMは蔵王の廃小学校で衆力されており、通常のスタジオとは一味違う音響レベルで収録されているのである。
 リズムをとる音すらもマイクに吹き込み、音楽性と劇判としての機能を限界まで両立させている、「劇判作家のものではない劇判」の極致と言っても過言ではない。
 地味にエンクミのEDがフルサイズ収録なのもよいところ。タイアップながら、このサントラの雰囲気を壊さない優しさがある良質なキッズアニメソングである。

 間違いなく名盤であるが、10年以上もの間プレミア価格がつきっぱなしである。
 逢坂氏による優しい画風のジャケットと、収録秘話を記したブックレットもあり、プレミア価格に手を伸ばしても満足できる逸品ではあるが、少々敷居が高くもあるだろう。
 稀に、ネット価格よりも数千円安いくらいの値段で中古ショップで見かけるので、ヒヲウのOPなどでこのサントラに興味がわいた人は、足繫くショップを見張ってみるとよい。

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