ピンポン SOUNDTRACK Standard Edition

ピンポン SOUNDTRACK Standard Edition

オススメ度 ★★★★★

発売:2014年11月26日 収録時間:73分 定価:2100円 レーベル:アニプレックス



原作、そして実写映画版どちらも絶大な人気を誇る作品「ピンポン」。
期待と不安を一身に背負いノイタミナでアニメが放送された。
湯浅政明監督による原作を最大限リスペクトした映像により不安は払拭され、
牛尾憲輔音楽は実写版に全く引けを取らない名劇判となった。


No曲名時間作曲編曲作詞
1Hero Appears2:06牛尾憲輔
2Hero Theme2:00
3Moon Base1:44
4A Day of Peco1:33
5Katase High School Ping Pong Club1:40
6Obaba Tamura1:31
7China2:07
8Like A Dance2:27
9Old Joe1:41
10Butterfly Joe1:45
11Game Analyst1:22
12Smile Monster1:41
13Ping Pong Phase0:37
14Four-Eyes Attacks1:56
15Rivals1:40
16In Mirrors1:36
17Akuma1:58
18Out of Control1:58
19Dragon2:16
20Nothing Happens2:12
21Yurie1:29
22Poseidon CF0:26
23The Melancholy of Dragon1:44
24Wish Upon A Star1:50
25His Noise1:10
26Tenderness1:30
27A Recipe of Hero1:43
28China’s Kitchen1:31
29Sweet Pain1:30
30Night Crusing1:41
31The Heat2:18
32Sanada1:56
33Say My Name1:45
34My Home,China2:48
35Childhood1:51
36The Other Side of Dragon1:53
37Peco2:49オオルタイチ
38Ping Pong Phase21:59牛尾憲輔
39手のひらを太陽に1:42いずみたく牛尾憲輔やなせたかし少年少女合唱団
40Tenderness(5years after)1:10牛尾憲輔
41Farewell Song1:30
42Hero Appears(Reprise)1:16
 松本大洋原作の傑作青春卓球漫画「ピンポン」。
 10年の時が立とうとしているとはいえ、傑作メディア展開であった窪塚洋介主演の実写版もまだ記憶に新しい。
 スーパーカーやBOOM BOOM SATELLITESによるBGMは「ピンポン」映像化における音楽のイメージを固定化したと言っても良いだろう。
 映画化からさらに10年以上の時を超え、2014年に湯浅政明監督によりノイタミナ枠でアニメ化され、原作、そして映画版をもリスペクトするアニメ化を果たした。

 「ピンポン THE ANIMATION」においては牛尾憲輔氏が劇判を担当。   
 実は牛尾氏をチョイスする、という時点で映画版に対して延長線を描くような人選と言ってよい。
 映画版はスーパーカーを中心としたテクノ系劇判でその透明感溢れる青春を演出しており、その中には砂原良徳氏や石野卓球氏などの賛歌により、電気グルーヴの血も流れている。
 そしてこの牛尾氏もまたその石野卓球氏の元から業界へはばたき、電子音楽系劇判の場へやってきた、正に「次世代テクノ劇判」の最前線なのである。

 まずメインテーマかつ主人公ペコ自身のテーマ曲として演出されている「Hero Theme」及びそのメロディを利用した曲が非常に印象的。
 ペコを象徴するには圧倒的な爽快感を音楽で描写する。映画版でのスーパーカーによる「Free Your Soul」はそれを2時間弱で感じさせるための権化のような1曲であったが、牛尾氏は1クールのドラマに耐えうるよう、盛り上がる時間を長引かせる方向で演出した。
 同じメロディの繰り返しから徐々にピッチを上げていく様は1クールかけた終盤のペコの飛翔に相応しいテーマ曲である。
 全体的にも、複雑すぎない程度の素材量の電子音楽でクールにまとめ、アシッド系、エレクトロニカなど、電子音楽としてのジャンルは幅広くあれど、その世界観は「青春スポーツ物語」の範疇で暴れている器用っぷりである。

 極まっているのが2曲。「Ping Pong Phase2」と「手のひらを太陽に」である。
 この2曲は実写映画版とは全く異なるアプローチであり、牛尾憲輔×ピンポンが「成った」瞬間と言えよう。
 「Ping Pong Phase2」は卓球のラリー音サンプリングをリズムに使用する「Ping Pong Phase」と同様の曲展開だが、その熱量は「ペコとスマイルが決勝戦に向かう瞬間」を演出するために大幅強化されている。
 卓球のリズムとスティーヴ・ライヒ的な泡立ちが徐々に暴発していくような切ないメロディはとても胸を打つ。
 そして「手のひらを太陽に」はやなせたかし作詞の国民的童謡であるが、「ピンポン THE ANIMATION」ではその物語を「人生賛歌」として解釈し、それを強調するために起用された。
 牛尾氏によるアレンジが実に絶妙で、これまでの劇判の作風を「泣かせ」に全振りしたアレンジをこの童謡に乗せ、スマイルの涙と笑顔に重なった瞬間は本作のベストバウトと言っていいだろう。

 傑作サウンドトラックであった実写版サントラに対し、延長線であり、別アプローチであり、上回ると言っても過言ではない名盤。
 本作一枚で聞いても間違いなく楽しめるが、実写版と照らし合わせる方が個人的には非常に面白いと感じる。
 なんなら実写版主題歌「YUMEGIWA LAST BOY」とアニメED「僕らについて」のフレーズの重なり方すらも比較しがいがあるくらいだ。
 2014年アニメにも多くの傑作と傑作劇判があったが、その代表の1つである。

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