“FINAL FANTASY Ⅸ” Original Sound Track

“FINAL FANTASY Ⅸ” Original Sound Track

オススメ度 ★★★★★

発売:2000年8月30日(2004年5月19日再販) 収録時間:287分 定価:3873円 レーベル:デジキューブ(再販はスクウェア・エニックス)



「Ⅷ」からさらに増えての287分のサウンドトラック。
「原点回帰」を指針としたベクトルにより「植松感」よりも「FF感」が色濃くなる。
原点回帰というにはメルヘンチックな世界観によって音もマイルドさが強まっている。
主題歌の使用は継続。ゲーム屈指の名曲である。


 PS最後の正規FFとなるのが本作「Ⅸ」。
 「Ⅶ」「Ⅷ」と従来のFF感から離れていった雰囲気から一転して、原点回帰を指針とする一作である。
 「ここまでメルヘンじゃねぇ!」という声もあるだろうが、それでもFFを取り戻そうとしていることは伝わる。

 前2作で打ち付けられた「植松ワールド」ではなく、従来のFF感をベースに、古楽やオケ、ロックポップスなどが展開する。
 楽器音源も一定の音ではなく曲によって音源を変えていくなどのこだわりも感じさせる。
 また、「Ⅷ」以上にメインテーマモチーフが全体に散りばめられているのが特徴的。故に、EDの感動も一入だろう。
 ちなみにイベントなどでの生オケアレンジは例によって浜口史郎氏。

 メルヘンな世界観に寄り添って演出するように、コミカルさやファンタジーが散見される。
 タイトル画面にて使われる冒頭「いつか帰るところ」はリコーダー的な音源による古楽を意識した曲。
 こういったこだわった古めかしさなどがファンタジーをより濃厚に演出するのである。

 「バトル1」では久々にFFイントロが復活。新音源でのベース音が心地よい。
 キャラクターテーマも音源の際立つ明るいテーマが多く、聞いていて楽しくなってくる。

 このゲームにおいて人気のある曲の多くが、実はワンシーンのみの使用だったりする。
 例えば劇中劇での使用だった「この刃に懸けて」などは、オペラ的な展開を意識しており、冒頭であることから人気が高い。
 「永遠の豊穣 Eternal Harvest」や「4枚の鏡」などもそう、プレリュードやいつか帰るところのアレンジなのでより耳に残っている。
 中でも人気があるのは「独りじゃない」ではなかろうか。傷付くジタンのもとに仲間が集まっていくイベントのみでの使用。
 メロディに古楽や邦楽的要素を含みながらも主題歌モチーフを混ぜ込み、ディストーションギターが決まるクールな曲だ。

 主題歌「Melodies Of Life~Final Fantasy」はゲーム音楽Wikiでも4位にランクインしたこともあるゲーム屈指の名曲である。
 「Ⅷ」とは打って変わって日本語による「Ⅸ」の全てを理解した歌詞が我々の心を打つ。
 ラストにはフルオケによる「ファイナルファンタジー」が出迎える。坂口Pも涙したとかなんとかかんとか。
 ちなみに英語アカペラの「Melodies Of Life~The Layers of Harmony」はシングル未収録なので注意すべし。

 以前よりもマイルドだが、凝りに凝った音が際立つ傑作アルバム。
 ムービー専用の小片は未収録で「PLUS」に収録されているが、それでも申し分ない287分。
 この主題歌でPSのFFは幕を閉じる。涙すべし。

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