“FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES” Original Soundtrack

“FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES” Original Soundtrack

オススメ度 ★★★★★

発売:2003年8月20日 収録時間:132分 定価:3360円 レーベル:ポニーキャニオン



「GCにFF!?」と息巻いていざ蓋を開くとそれは全くの別物であった。
しかし多人数ゲームとしては傑作であり、世界観と音楽の完成度はピカイチ。
谷岡久美氏とロバハウスによる古楽器を使ったサウンドは、他のFFでは見られないほど世界観に溶け込んでいる。
バンドサウンドなFF音楽は一切ないのでご容赦を。


N0.Disc 1 曲名時間作曲編曲作詞
1記憶のこだま0:48谷岡久美
2カゼノネ3:39片岡正博Yae
3やすらぎ0:42
4今日が来て、明日になって2:15
5はじまりの村2:40
6キャラバン・クロスロード1:16
7旅立ち4:16
8川面にうつる雲1:27
9夢路の夕暮れ3:52
10鎚音ひびく峠にて2:30
11憂いの闇の中で3:34
12にぎわいと伝統と2:18
13おののけ、もののけ3:24
14三人いれば…?2:10
15誓いは永遠に3:03岩崎英則谷岡久美
16閉じられた物語0:15谷岡久美
17マギーがすべて2:54
18アミダッティも、エレオノールも3:30
19約束のうるおい2:55
20クリスタルを継ぐ者へ2:01
21風のこえ、時のうた3:13
22魔物の砦3:15
23覚悟を決めろ0:51
24怪物の輪舞~ロンド~2:57
25命の水1:14
26ぼくモーグリ1:06植松伸夫谷岡久美
27なつかしい横顔1:30谷岡久美
28年に一度のお祭り2:42
N0.Disc 2 曲名時間作曲編曲作詞
1はてしなき空1:57谷岡久美
2ただ突き進むのみ1:05
3ぼくのおうち1:29植松伸夫谷岡久美
4大海原をながめて1:21谷岡久美
5心の奥に燃ゆるもの3:45
6「自由」に身をゆだねて1:53
7砂に眠る秘宝3:43
8光よ…!2:30
9新天地を目指して4:31
10哀しみを強さに1:49
11笑顔いっぱいの時間1:59
12北の空が澄んでいたころ3:19
13マグ・メル2:35
14アクロス・ザ・ディバイド2:32
15心の中に響く音2:00
16光と影1:39
17忘れたくない…3:43
18哀しい怪物4:00
19融合、降臨4:07
20そよかぜ吹けば2:11
21どこまでも蒼く2:02
22星月夜4:25片岡正博Yae
23水のオルゴール1:15
24星月夜~アレンジバージョン~5:37谷岡久美高良久美子、Warehouse片岡正博Yae
 GCハードで発売されたFF、「クリスタルクロニクル」。
 「これはFFではない」という声も多く、批判されることもしばしばある本作である。
 しかし多人数ゲームとしての完成度は高く、決してゲームの評価が低い訳ではない。

 メインコンポーザーを務めるのは谷岡久美氏。今作がソロデビューアルバムとなる。
 「チョコボの不思議なダンジョン2」や「FFⅩⅠ」などでもその力を見せつけてきたが、今作は一風変わったコンセプトで挑む。
 それが古楽器である。「ゲド戦記」も担当した西欧古楽器演奏集団・ロバハウスを率いて、新たな世界観に挑む。

 ブックレットによればアルバムのテーマは「素朴」。
 牧歌的ながらもどこか悲哀のある音楽は、「CC」の破滅寸前の世界をうまく表現できている。
 OP「カゼノネ」は民俗音楽を日本向けボーカルに最適化した一例と言っていいのではないか。

 「旅立ち」は最初のダンジョンBGMであることを感じさせない程穏やかだが、強かさも感じる名曲。
 バルクホルンなどの古楽器とリコーダーの兼ね合いである今作アルバムを代表する一曲である。
 穏やか一本調子だけでなく「おののけ、もののけ」や「約束のうるおい」など、トリッキーな曲もあり耳を飽きさせない。

 「怪物の輪舞~ロンド~」は汎用ボスミュージック。リコーダーでも危機感は出せることの証明。
 しかしこの曲に代表されるように、今作の立役者は管楽器だけはなく打楽器だと感じる。
 管楽器には一部サンプリングめいた音があるが、打楽器のセンスが有り余ってそれをカバーしている。

 「融合、降臨」がラスボス戦。OPメロディのアレンジを混ぜつつもこれまた打楽器がたまらない響き方をする。
 悲哀と虚無感あるメロディ作りが正しく「CC」の世界の終末感。ラスボスの特性からしても納得。
 そして「どこまでも蒼く」のリコーダーを聞くと、脳裏に鮮明に瘴気の消えていく光景が浮かぶ。

 「星月夜」はED。「CC」の平和な部分の象徴たる牧歌的なサウンドである。
 始まりは切なく、途中は激しく、終わりは穏やかに。アルバム構成としてもたまらない。

 古楽器への執着にそれまでの谷岡氏らしさが消えたとの声もなくはないし、ゲーム的なアッパーさも決してない。
 「もっとシリーズへの愛を示せ」という感想もあるかもしれない。
 しかしこのサウンドは間違いなくGCゲームのトップクラスに君臨する一作である。
 逆に言えばこのゲームらしさのなさは、誰にでもアルバムで勧められるということの裏返し。
 ロバハウスのアルバムとしても聞いていいのではないだろうか。

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