機動戦士ガンダム 逆襲のシャア オリジナル・サウンドトラック

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア オリジナル・サウンドトラック

オススメ度 ★★★★★

発売:1988年3月12日 収録時間:52分 定価:3200円 レーベル:エピックレコードジャパン



アムロとシャアの物語に決着をつけた「逆シャア」。
「Z」「ZZ」に引き続き三枝成彰氏によるスペオペオケが展開。
ドストレートにカッコいいヒロイックなメロディがくる。
人気の強いED主題歌もフルで収録。


No.曲名時間作・編曲作詞
1MAIN TITLE(メイン・タイトル)4:44三枝成彰
2Segment I QUESS PARAYA(クェス・パラヤ)3:31
3Segment II NEO ZION(ネオ・ジオン軍)4:00
4Segment III SALLY(出撃)2:38
5Segment IV RONDO BELL(ロンド・ベル隊)3:10
6Segment V SWAN(白鳥)3:39
7Segment VI νGUNDAM(ニュー・ガンダム)4:30
8Segment VII ANXIETY(不安)2:34
9Segment VIII MISSION(使命)2:58
10Segment IX AXCIS(惑星アクシズ)2:14
11Segment X SACRIFICE(犠牲)3:04
12Segment XI COMBAT(格闘)4:43
13Segment XII DESTINY(宿命)3:07
14Segment XIII AURORA(オーロラ)2:42
15BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)4:51小室哲哉小室みつ子TM NETWORK
 1979年から20年続いたアムロとシャアの因縁に終止符を打つべく、ガンダム初のオリジナル長編映画として制作されたのが「逆襲のシャア」である。
 2021年に「閃光のハサウェイ」が公開されるまで、ガンダム映画でもトップの興行収入を保ち続けていた。
 Z、ZZと続く三枝成彰ガンダム劇判の完結作でもある。

 8割生オーケストラの、かなり分かり易いスペースオペラ劇判である。
 根幹に実験音楽の流れを抱える三枝氏の劇判と考えると、徐々に転換を迎えていった結果の素直さとも取れるが、それでもZ、ZZで感じられた「打撃音のようなオーケストラ」が散りばめられており、そこが特異さを生み出している。
 「NEO ZION(ネオ・ジオン軍」が特にZ的な荒々しさを感じさせる曲で、「あっ、宇宙世紀ガンダムの戦闘音楽だ!」といきなり感じさせて嬉しい。
 スパロボなどでもよく使用される、スペオペみの強い「MAIN TITLE(メイン・タイトル)」「SALLY(出撃)」「νGUNDAM(ニュー・ガンダム)」あたりはスペオペ風味に加えてミリタリー要素も感じられ、「日常描写の少ない大人の物語」である逆シャアの雰囲気を作り、Z、ZZとは一線を画すことをアピールできている良曲たちもある。   
 特に「νGUNDAM(ニュー・ガンダム)」後半の打撃的なオケが続くパートは、レズンVSケーラの緊迫したシーンにνガンダムが乱入する瞬間の空気の切り替えが思い出される、かなり気持ちの良い曲となっている。

 オーケストラでのSF的な音楽表現に対し、名ED「BEYOND THE TIME」は小室哲哉氏によるクラブ・テクノ方面のサウンドでのSF表現を行っているのが印象的である。
 90年台に差し掛かるこの頃こそ映像音楽におけるSF表現の転換期であるとも取れる象徴的なアルバム構成であり、違和感のないタイアップ主題歌という点でも素晴らしい曲だ。
 余談だが、この曲はTM NETWORKのツアー中に収録されたという大変ドタバタした経緯のある1曲でもある。

 実はギュネイ戦あたりなど細かな未収録曲が多い、交響曲的な構成でまとめられた一枚でもあるが、作品そのものも含めて多くの人が知る通りの名作・名盤である。
 どうしてもすべての曲を、使用されたバージョンで聞きたい場合は2014年に発売された完全版を購入しておこう。
 ちなみに、ジャケットのνガンダムはSF小説表紙等で知られる加藤直之氏によるイラストである。かっこいいね……。

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