恋風 サウンドトラック

恋風 サウンドトラック

オススメ度 ★★★★★

発売:2004年7月23日 収録時間:64分 定価:3150円 レーベル:ジェネオン エンタテインメント



イブニングに掲載されていた吉田基己氏の漫画原作のアニメ「恋風」。
血縁の兄妹の恋愛をストレートに描く、あるようで少ない作品。
音楽には大森監督ではおなじみ吉森信氏に加え、連名で宅見将典氏が参加。
2010年代でも通用するであろう繊細な室内心象風景音楽。


No.曲名時間作・編曲作詞
1メインテーマ2:21宅見将典
2恋風4:52橋本由香利岡崎律子Éf
3自転車に乗る午後1:41吉森信
4空と雲と風と私1:34宅見将典
5春、うつろ1:50
6桜ヶ丘遊園地1:32吉森信
7うつろに揺れあう木々の影1:44宅見将典
8ひとりぼっちのエチュード1:33
9マイ・スイートホーム 家族の食卓2:23吉森信
10静かな夜と蒼い月1:27宅見将典
11だんだん、もっと好きになるっ!1:53
12葉先に揺れる水影1:37
13近くて遠いふたり1:45
14優しさだけなら幾らでも1:19
15疾走少女3:11
16どうしちゃったんだろ?1:17
17ゆるりと弾む鞄たち1:33吉森信
18こぐまのマーチ1:03
19夏の夜の出来事1:42
20悲しいというほどでもないコト1:04
21おやすみ。明日は晴れるかな1:52宅見将典
22枯葉の帰り道4:02
23雪のように 夢のように2:00吉森信
24春愁2:48宅見将典
25曇り空の下、僕らは1:42
26平凡は最高のたからもの1:59吉森信
27幻想贖罪1:36宅見将典
28悲しき想い2:14
29メインテーマ~凍りつく夜の面影~2:33
30桜道(サクラロード)~風に舞う息吹たち~4:15
31ふたりだから(エンディングエディット)1:42伊藤真澄
 イブニングに掲載されていた吉田基己氏の漫画「恋風」。
アニメは大森貴弘監督率いる後の「夏目友人帳」スタッフで殆どが構成されている。
血縁関係のある兄妹間の恋愛を真摯に描写する強気な作品。故に、必要とされる演出の純粋さもより高度になる。

 
 大森貴弘監督という事で音楽担当には吉森信氏がいるのだが、今回は連名で宅見将典氏も参加している。
 宅見将典氏は本作がアニメ劇判初参加。吉森氏と比べて明確な使い分けがある訳ではないが、比較的内向的な心情描写に努めている事が多く、それによりメインテーマ級の音楽を任されている。
 基本的には室内管弦。兄妹間の恋愛を描くシリアスな恋愛ドラマの音楽が必要になるのだが、決してアンニュイになり切らず、繊細で透明感ある心地よいギターや木管が披露される。
 宅見氏と吉森氏でのメリハリが効いているのが良い。宅見氏の控えめな楽器使いに対して、「自転車に乗る午後」のような吉森氏のハキハキした音使いが清涼感を更に増やしていく(自転車ベル音が混ざる小技も良い)。
 メロディに頼らない風景・恋愛音楽は10年代増えつつあるように見える劇判の流れであるが、今作が存在する様に決して最近に始まったものではないとも分かる。
 ピアノをメインにした不安・不穏演出音楽の数々も捨て曲にならないような完成度に仕上がっており、このアルバムを聴いただけでもアニメ作品の細やかさが伝わってくるはずである。
 劇判デビューの宅見氏も「疾走少女」で3分アコギメインで持たす手腕は後の「クレイモア」等での活躍を想起させ、既に非凡である事が十分に伺える。吉森氏に関しても何も言うことは無い。

 
 これを目当てに購入する人はさぞ多いことであろう「Gotchaman~In the name of Love」。ゴスペル的な「GATCHAMAN!」の叫びと、岩崎工氏によるラップからオケへの流れがとても美しい。この進行は「ヨルムンガンド」アール回の「The first step to escape from complex」にも良く似ている。
 注目なのは「Ziel der Hydra(ヒュドラの標的)」。女性ソプラノとクラブアレンジを合わせた曲だ。これは「グレンラガン」の決め曲「“Libera me”from hell」を思い出させる編曲となっている。
 9話にてカッツェの暗躍を演出した「カッツェのテーマ」たるこの曲によるその演出を、「意志あるスタッフによる奇跡」と岩崎氏が絶賛するほどの演出力を発揮したもの。
 そしてこれに限らず、「クラウズ」の音楽は奇跡的な威力を持つ曲がいくつもあり、デジタル、ラップ、オケなどを導入した岩崎氏の一時の総決算めいたものを感じた。

 
 OPの「恋風」は故・岡崎律子氏の作詞。小さく切ない恋愛の歌詞を書かせたら彼女の右に出る人はそういまい。
 なおこの「恋風」はシングル発売などはしておらず、サントラにのみの収録なので注意されたし。
 作品性から想像される通りの良質なサウンドトラック。聴き心地の良いヒーリングアルバムに仕上がった。
 少々プレミアがついてしまっているので、入手するのは急いだ方がいいだろう。
 ブックレットには宅見将典氏へのインタビューが掲載。

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