劇場映画『鉄人28号 白昼の残月』音楽集

劇場映画『鉄人28号 白昼の残月』音楽集

オススメ度 ★★★★★

発売:2007年2月28日 収録時間:73分 定価:2880円 レーベル:キングレコード



2004年にテレビアニメ「鉄人28号」を作り出したスタッフが、
今度は劇場版でハードな戦後のドラマを弾き出す。
しかも音楽は伊福部昭先生の過去作品を引用したもの。
それをまとめたいわばベストアルバムであり、かなり価値ある一枚。


N0.Disc 曲名時間作曲編曲作詞
1日本狂詩曲 Ⅰ.夜曲8:05伊福部昭
2日本狂詩曲 Ⅱ.祭7:37
3土俗的三連画より ティンベ2:27
4交響譚詩より 第2譚詩:アンダンテ・ラプソディコ7:56
5シンフォニア・タプカーラより 第1楽章12:35
6管弦楽のための「日本組曲」より
第2曲:七夕 レント・トランクイッロ
5:21
7舞踏音楽「サロメ」より抜粋 前奏曲2:04
8舞踏音楽「サロメ」より抜粋 ヘロデ王宮殿内の広いテラス1:05
9舞踏音楽「サロメ」より抜粋
ヘロデ王と王妃へロディアス、及び廷臣たちの登場
ヘロデ「サロメは何処だ?女王は何処だ?」
3:40
10舞踏音楽「サロメ」より抜粋
ヘロデは、もうサロメから目線を外さない
3:57
11舞踏音楽「サロメ」より抜粋 ヘロデ、サロメ、ヘロディアスⅡ2:44
12舞踏音楽「サロメ」より抜粋 サロメ
「私は、召使たちが香料とヴェールを持ってくるのを、
そして、私のサンダルを脱がしてくれるのを、待っているのです」
0:29
13兵士の序楽8:29
14進め!正太郎1:17越部信義千住明伊藤アキラ六本木男声合唱団
15鉄人28号2:09三木鶏郎三木鶏郎
16お富さん2:36渡久地政信山崎正春日八郎
 2004年、「ジャイアントロボ」「Gガンダム」の今川泰宏監督が「鉄人28号」を硬派にリメイク。
 作風やスタッフをそのままに3年後、劇場版が制作された。名は「白昼の残月」。
 戦後の帝都を生々しく描き、それをエンターテインメントに昇華した渋い傑作。

 2004年テレビシリーズの音楽は千住明氏であったが、今作の音楽はなんと伊福部昭氏。
 新規録音でも新曲でもなく過去作品からの引用であるが、生前に伊福部氏に許可を取った「最後の公認CD」だ。
 つまり伊福部氏の代表曲のベストアルバムとも言えるのだが、ただそれだけではない。
 まず、これらの楽曲はただフィルムにとってつけたものに終わらず、完全に映画音楽としてマッチさせられていた。
 「日本狂詩曲 Ⅱ.祭」「ヘロデ、サロメ、ヘロディアスⅡ」で始まるアクションの盛り上がりは他に類を見ないし、ラストシーンを締める「サロメ」前奏曲は、この曲を終盤でオマージュした2014年「GODZILLA」を思い起こす。
 このアルバム自体も、伊福部昭氏のサントラCDの中でも数少ないステレオ音源のサントラであり、既に伊福部氏のファンである人間にもこのCDを手に入れる価値を持っている。
 勿論、「鉄人28号 白昼の残月」を見てから伊福部氏のファンになるための入り口にもなっているだろう。
 それをサポートしてくれるのはブックレットだ。腹巻猫氏による伊福部氏の愛ある解説、各曲解説など、この一曲一曲をより噛み締めるための情報がこれでもかと書き込まれている。
 劇中で使った曲でもCDに入りきってないものがいくらかあるようだが、それでも70分間伊福部昭氏を味わい尽くせる。

 欠点は「伊福部昭音楽の入門になる」という良さが「CDがプレミア化している」事で掻き消えていること。
 入門編が手に入れにくいのはあんまりすぎる。勿論それでも集めるに値するが。
 また、各曲が全編収録されているわけではない。使用された楽章のみか、CDに入りきる切り方をして収録されている。交響曲であることにこだわりがあると許せない構成ではあるだろう。
 ブックレットには前述のとおり腹巻猫氏による伊福部氏や収録曲、使用曲の解説あり。
 末頁には引用元のCDが紹介されているので、そこから手を出していくことをオススメする。
 ジャケットイラストは石川晋吾氏。デザインは福田功氏。

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