思い出のマーニー サントラ音楽集

思い出のマーニー サントラ音楽集

オススメ度 ★★★★☆

発売:2014年7月16日 収録時間:71分 定価:3024円 レーベル:徳間ジャパンコミュニケーションズ

 



「風立ちぬ」で(n度目かの)引退を表明した宮崎駿氏。その後を誰かが継がねばならない危機感は常にあった。

ジブリ新生の第一歩と言っても過言ではないだろう、それが「思い出のマーニー」。

「アリエッティ」の米林監督だけあり、音楽に特有の繊細さを要求している。

村松崇継氏もその憧れのジブリ仕事をフレッシュに仕立て上げている。


 

No. Disc 1 曲名 時間 作・編曲
1 大岩さんの家 3:35 村松崇継
2 潮の満ち引き 3:42
3 杏奈 3:38
4 マーニー 4:36
5 彩香の夢 2:22
6 杏奈(ピアノバージョン) 3:53

 

No. Disc 2 曲名 時間 作・編曲 作詞・歌
1 「普通の顔」 1:39 村松崇継  
2 杏奈の旅立ち 1:41
3 ハガキを出しに 2:00
4 しめっち屋敷 2:09
5 「明かりがついてる!」 0:22
6 青い窓の少女 0:57
7 ボートの上でスケッチ 0:42
8 少女は立ち上がった! 0:39
9 「わたしはわたしのとおり」 0:59
10 人形を抱いていた頃 0:46
11 「夢じゃないわ!」 3:25
12 ボートの上の2人 1:46
13 質問は3つずつ 1:14
14 パーティ会場 1:44
15 和彦とマーニーのダンス 2:22
16 「あたしたちも踊りましょう!」 1:57
17 トマトを切りながら 1:13
18 久子の絵 0:36
19 青い日記 2:42
20 キノコの森 1:20
21 2人の告白 3:38
22 「入れ変わっちゃったみたい!」 0:56
23 杏奈、嵐の中を走る 0:45
24 最後のお願い 2:52
25 久子の話① 3:13
26 久子の話② 1:25
27 思い出のマーニー(アルハンブラの思い出) 1:57
28 Fine On The Outside 4:14 Priscilla Ahn
 「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」とジブリの立役者が集大成を繰り出し、宮崎駿氏が退いた(と宣言した)2013年。
 そして2014年、縮小するかもしれないジブリの後進となる第一作が「思い出のマーニー」であった。
 イギリスの児童小説を原作としており、「借りぐらしのアリエッティ」の米林宏昌監督らしい叙情的な演出スタイルも含めて、米林監督の色を確立させようという試みを感じた一作。

 
 音楽担当は村松崇継氏。実写作品劇伴での活躍が目覚しく、「天花」は朝ドラ史上最年少の音楽担当であった。
 細やかな心情描写を管弦に乗せるのが印象的な氏の作風は北欧バンド音楽だった「アリエッティ」とは違いながらも、パワー負けしないドラマ音楽を作り出そうとしており、米林監督との相性はかなり良いように見える。
 事実、今作以降の米林監督は村松氏とのタッグが多くなる。

 
 戦略もこれまでのジブリとは違う。従来、単品の商品として発売されていたアレンジアルバムは2枚組の1枚目に収録。
 アレンジオケの演奏は読売日本交響楽団。このアレンジアルバムでもひときわ目立つ「杏奈」がこの作品のメインテーマである。
 しかしこの「杏奈のテーマ」に違和感を感じてしまうのは、このメロが杏奈というキャラクターとの違和感を発しているからではなかろうか。
 少女・杏奈の抱える思春期の心象を自らのルーツを持って変革していくのが映画本編の目的だ。そしてこのメロディは、「杏奈を暗黒から救い出すこと」を前提としたメロディとなっている。
 しかし、作品時間の半分程は、杏奈は闇の中にいる。
 感覚的な言葉でしかないが、このメロは杏奈の「正」しか写していないように思える。その結果、作品の時系列や救済までの時間の印象から、若干メロが過剰過ぎるように感じられる時があるのである。
 このあたりは、映画そのものの演出が抱える問題点ともリンクしているように感じられる。

 
 だが、それを含め全体に散りばめられた少女への慈愛に起因する繊細さは、このアルバムの武器だ。
 曲によってベーゼンドルファーとスタインウェイのピアノを使い分けたりするこだわりもそれを助ける。
 そして目を閉じて聞けばさぞ心地よいであろう一時間の締めにはプリシラ・アーンによる名曲「Fine On The Outside」。
 ぐちぐち面倒な文句を並べ立てたが、村松氏のオケは掛け値なしに気分がいいし、この主題歌で聴き終わるなら問題がない。
 アニソンカバーで話題となったプリシラ・アーンの声質は絶品モノだし、村松氏の音楽との統一感も図れている。
 「アリエッティ」でハードルが挙がったり、久石譲氏との比較で固まった聞き方をしているだけかもしれないし、こういうスタイルの劇伴演出が今後のジブリを支えていくのかもわからない。

 
 「アリエッティ」サントラ程の大傑作扱いはできないが、可能性を秘めた良質なアルバム。
 ジブリ作品なのだから、ぶっちゃけた話「見て気に入ったら買おう」が通じたりもするだろう。元も子もないが。
 村松崇継氏入門としても使えるはずだ。ちなみに、曲名は米林監督による命名だったりする。あと、「思い出のマーニー」のハミングは森山良子のものだったりもする。
 ブックレットには村松氏のコメント・解説あり。

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